●大型アミチプリズムの左右屋根型平面部のみで光束を２回反射させることにより、シャープネス劣化を生じない完全正立像の直角視デバイスです。特に月・惑星・二重星の高倍率観測に最適。プリズムの全反射を用いているのでほぼ１００％の総合反射率を示し、淡い星雲星団の観測にも威力を発揮します。もちろん正立像を生かした地上観測にも好適。φ27.5mmの大きな開口径により、超広角アイピースでも視野のケラレは皆無です。109mmの光路長により、多くの鏡筒で確実な合焦が可能。天頂ミラーや天頂プリズムによる裏像に違和感を感じていたり、旧来の正立プリズムによる高倍率での像劣化に不満を抱いている多くのユーザーに広くお勧めできる唯一無二のユニークな製品です。

◆ 製品コンセプト ◆
●通常の天頂プリズムや天頂ミラーを用いて観測する場合、裏像（鏡像）になるので方角の同定やスケッチ等に不都合が生じます。いっぽう９０゜正立プリズムを用いれば裏像になりませんが、中央に稜線が入る構造上、かなり高精度な製品でもシャープネス劣化を免れないため、高倍率観測時に不都合が生じます。ペンタプリズムを用いればシャープネス劣化を生じず裏像にもなりませんが、上下左右倒立像のため地上用には使えず、天体用としても正立像を望むユーザーにはやはり不都合です。唯一、２枚鏡の正立ミラーシステムならシャープネス劣化を生じず完全正立像が得られますが、光路長が大きいため使用できる鏡筒が限定され、また２面反射による光量損失抑止のために誘電体コートや銀メッキなど高価な高反射率ミラーを使う必要があり、更に反射面が露出していることにより最低限のメンテナンスが必要になる、などの問題が残ります。

●何とか「高倍率でもシャープネス劣化を生じず」、「ほぼ１００％の反射率を保ち」、「より多くの鏡筒で合焦が得られ」、「完全メンテナンスフリー」で使える完全正立直角視デバイスはできないものか・・・・その唯一の解は、「必要光路径の２倍の横幅がある大型のアミチプリズムを使う」ということでした。プリズム中央の稜線部を避けて偏心開口部を設け、屋根型の左右平面部のみで２回反射させれば、２枚鏡の正立ミラーシステムと同じ光路で直角視が得られます。２回とも平面反射なのでシャープネス劣化は無く、プリズムの全反射によりほぼ１００％の反射率が得られ、更に光がガラス内を透過する際の「円筒プリズム効果」により通常の２枚鏡正立ミラーシステムよりも消費光路長が短くなるため、バックフォーカスの短い鏡筒でも合焦が得やすくなります。また反射面は全てプリズム内部のため、清掃不要で完全にメンテナンスフリーで使えます。

●笠井は２枚鏡正立ミラーシステム「ＥＺＭ」や各種双眼望遠鏡の製作でお馴染みのビノテクノ社とのコラボレーションにより、この理想的な直角視デバイスを具現化・商品化することに挑戦しました。そして完成したのが、この「ＥＺＰ正立天頂プリズム」です。(EZP = Erecting Zenith Prism)

◆ 大型アミチプリズム ◆
●角度誤差5"以内の極めて高精度な横幅55mmの大型アミチプリズムを採用。全面にブロードバンドマルチコートを施すことにより、プリズムの全反射と相まって、ほぼ１００％の総合透過率（反射率）を確保しています。反射面の平面性も非常に高精度なため、高倍率観測においてもシャープネスが劣化することはありません。必要光路長は一般的な２インチ天頂ミラー（約120mm）よりも更に短い109mmに抑えられているため、２インチ天頂ミラーが使える全ての鏡筒で確実な合焦が得られます。

◆ 本体仕様 ◆
●全部品にブラックアノダイズ仕上げの硬質なアルミ合金を採用。筐体部は一体型六角形フレームの採用により荷重に強く、双眼装置など重量のあるアクセサリーを接続してもタワミは生じません。アイピースホルダーには真鍮リング締付式を採用。更にアイピース固定ネジは120度間隔で３方向に付け替え可能。ユーザーの好みに応じて最も使い易い角度に設定できます。31.7mmバレルは滑落防止のテーパー形状を採用。バレル内面は全面施条＋低反射黒色塗装により、内面反射対策も万全です。もちろんバレル先端にはM28.5フィルターネジも完備。開口径はφ27.5mmの広さを確保しており、超広視野＆長焦点アイピースを用いても視野がケラれることはありません。

＜付記＞追加仕様として、入射口・射出口を共に左右反転させることができる構造になっています。これにより、アイピースホルダーが右側に付いたバージョンも供給可能。装着する鏡筒やユーザーの利き眼などの理由により、こちらの方が使用上都合が良い場合に、ご注文時に「逆仕様」オプションご選択下さい。

◆ 低倍率（星雲星団・地上）観測 ◆
●超広視野＆長焦点アイピースを用いても視野がケラれず、かつ１００％近い光量が得られる本製品は、淡い星雲星団の低倍率観測には理想的な直角視デバイスです。そしてもちろん、完全正立像が得られることにより、地上観測用としても快適に使用することができます。

◆ 高倍率（月・惑星・二重星）観測 ◆
●本製品の本領が最も発揮できるのが高倍率観測です。高精度な平面による２面反射によりシャープネスの劣化が無く、最高倍率での本格的な月・惑星・二重星観測までフルに対応可能。更に完全正立像が得られるため、天頂ミラーや天頂プリズムによる裏像に違和感を感じていたり、旧来の正立プリズムによる像劣化に不満を抱いている多くのユーザーに広くお勧めできます。

◆ 総合適性 ◆
●数ある直角視デバイスの中でも、ＥＺＰ正立天頂プリズムは唯一無二のユニークな存在です。既存のミラー＆プリズム類の問題点を一挙に解消した本製品は、ユーザーに新鮮な驚きを与えることでしょう。低倍率広視野での星雲星団観測から高倍率での月惑星観測まで、或いは正立像を生かした地上観測等も含め、様々なシチュエーションにおける観望・観測をフルカバーできる万能天頂プリズムとして、全ての望遠鏡オーナーにお勧めしたい「革命的」な製品です。

＜注＞極端にＦの小さな望遠鏡（Ｆ５など）の場合、角度の大きな光束がプリズム内部を長く透過することにより、特に高倍率においてごく微量の球面収差が顕在化することがあります。その場合は、双眼装置用のエクステンダーレンズをバレル先端に装着することにより、光束の角度を緩和して収差の発生を抑えることができます。